京大カウンセリングルームの留年についてのメッセージが個人的に嫌い

 京都大学カウンセリングルームの留年についてのメッセージが個人的に嫌いです。

メッセージの内容としては、大学というシステムは留年を生み出すようにできているのであり、留年は単に個人の失敗ととらえられるべきものではありません、というものと、留年を繰り返させる行動や考え方のパターンと脱出のための工夫、などについてです。

以下にメッセージのリンクとTwitterでの反応のまとめリンクを張っておきますので確認してみてください。

www.gssc.kyoto-u.ac.jp

togetter.com

見てもらえばわかると思いますが、ほとんどがメッセージに対して好意的間反応です。

というか定期的にバズってるように思います。↓

 

 

 前置きしますが、カウンセリングルームからのメッセージで誰かを責めるでもないし、具体的な留年回避の工夫も書いてあってとても意義のあるものだと思います。

 でも、自分は嫌いです。むかつきます。これから書くのは個人の感情としての意見です。ちょっと引用していきます。

以下引用部分は「」で示します。

 

「留年や退学は、単に個人の失敗としてのみ捉えられるべきものではないということです。つまり、現在の日本の社会において大学というシステムは、一定数の留年や退学を生み出すようにできているものなのだということです。」

まず、ここ。社会学からの意見みたいな感じで書いてますが、何開き直ってるんだと思います。そもそも、そういうシステムを改善していくのが大学の教育としての仕事のひとつでしょう?

 

留年の繰り返しパターンとして、「(1)留年を家族や友人に隠そうとする
(6)自分は他の学生より明確に劣っていると考える」などと挙げています。

これだって、留年が恥ずかしいという風潮を変えていくのも大学の仕事なのではないでしょうか。それは行き過ぎだとしても、留年したとしても社会で通用する人材に育てる、留年しない実力が身につく講義をする、それは大学の教育機関としての仕事でしょう。留年について優しい言葉をかけるより、大学としてのそっちの努力をアピールしてほしい。

 だいたい、大学に入学できる同じ学力のある学生の中で、留年する人しない人が出るのは大学にも悪いところがあるからでしょう。しかも、京都大学という実力者が集うところで、世間と同じ割合の留年を生み出すってはっきり言って大学に相当問題ありますよね。それはあまり触れずに留年は生み出されるようになってるとか、私たちは味方ですみたいな文章をいけしゃあしゃあと書いてるのがむかつくんですよね。

 

「留年中の人は、中退してしまったら就活で不利になると恐れている人もいるかもしれません。たしかに、企業の採用方針の狭量さゆえに、現在のところそういう現実があることは残念ながら否定できません。」

結局こういう現状を改善するのが一番必要なんじゃないでしょうか。それができるのは、あなたたち大学と就職先となる組織たちですよね。

 

「大学中退者が全員失業しているとか、誰も正社員になれないとかいう結果が出ているわけではないのです。あのスティーブ・ジョブズも、ビル・ゲイツも大学を中退しています。Facebookを立ち上げたマーク・ザッカーバーグソフトバンク孫正義もそうです。タモリ秋元康堺雅人などなど、大学を中退して社会で活躍している人はたくさんいます。こうした著名人に限らず、当たり前に普通に働いてこの社会を支えている大学中退者はいくらでもいるのです。」

そんなすごい人たちの特殊事例を挙げられても何の励みにもならねーよ。

 

「調査では、大学中退者は、全体として非正規雇用就労者の割合が高いということが示されています。調査からは他にもさまざまな面で大学中退者の困難な就労状況が読み取れます。」

結局、一般人の現実はこれなんでしょう。だったら、できる限り中退を思いとどまらせるのがよい大学なのでしょう。

 

「続けるという選択を支えている根拠の大きな部分が、やめられないという理由にあるのなら、一度、やめるという選択肢を落ち着いて現実的に考えてみてはどうでしょうか。大学をやめてできることを考えてみましょう。」

中退したら、就職で躓き非正規雇用で地を這う可能性が高くなると述べているにもかかわらず、中退も考えようと言っている。悪く言ってしまうと、このメッセージにそそのかされて中退したとしてもこれを書いてる人は何も責任を取りません。中退後、どれだけ苦しい思いをしようが知らんぷりです。中退者が苦しい道を行く可能性が高いと分かっているなら、できるだけやめないよう書くべきだと思います。やめてもいいんだよと優しい言葉をかけているが、それで苦労するのは結局本人です。そう考えると、このメッセージは無責任で優しいふりをしてるだけで何も助けてくれないものだと感じます。

 

 全体として、留年や中退してしまった人にはほとんど何の救いもないメッセージだと自分は感じました。にもかかわらず、優しいでしょみたいな雰囲気を出してるのが非常にむかつきますね。